不動産お役立ちコラム
水戸近辺で住むならマンション? 一戸建て?
~那珂市・水戸市・ひたちなか市の住宅市場と将来性を読み解く~
目次
1. はじめに:茨城県の住宅市場と水戸エリアの特徴

茨城県の県央部、水戸市・ひたちなか市・那珂市は、県庁所在地を中心とする生活圏を共有し、通勤・通学・商業・医療・行政などが一体化した地域です。
東京への通勤圏というよりも、「地元での暮らしやすさ・土地の広さ・生活コストの低さ」を重視した住宅選びが主流です。
国土交通省「住宅市場動向調査(令和6年度)」によれば、茨城県における新築一戸建ての平均購入価格は約3,800万円、中古マンションは約2,400万円前後で、首都圏平均を大きく下回ります。土地付き一戸建てが手に入りやすい価格帯であることが、茨城県住宅市場の最大の魅力といえます。
2. 那珂市:静かな住宅地とコスパの良い戸建て市場

再開発予定エリア・まちづくり方針
那珂市は「立地適正化計画(令和3年度策定)」をもとに、生活サービスや住宅機能の集約を進めています(出典:那珂市公式サイト)。
大型の再開発は少ないものの、駅周辺や幹線道路沿いの土地利用転換を促進する方針を掲げています。
市の「第2次総合計画」では、“安心で快適に暮らせる住宅環境づくり”を重点施策としています。
ハザードマップ上の安全エリア
那珂市の公式ハザードマップでは、那珂川・久慈川沿いの一部で浸水想定区域が設定されています。
特に下菅谷駅周辺や額田地区の低地では0.5〜3mの浸水想定があるため、住宅購入時は市の公開地図(PDF・GIS形式)でリスク確認が必要です。
一方で、菅谷駅北側や後台地区などは高台に位置し、相対的に安全と評価されています。
住宅流通データ
公的統計では那珂市の地価平均は約2.1万円/m²と、水戸・ひたちなかよりも約30〜40%安価です。
国交省「土地総合情報システム」によると、2024年度の中古戸建て取引価格の中央値は約1,500万円前後で、家族向けの戸建て購入が比較的しやすい水準です。
ただし流通件数は少なく、物件選択肢は限られる傾向にあります。
総評
那珂市は「低コストで広い家を求める層」に適しています。
ただし、再開発による地価上昇要因は少ないため、将来的な資産価値を重視するなら他市よりも慎重な立地選びが求められます。
3. 水戸市:再開発で変わる中心都市の住宅地図

再開発予定エリア
水戸市では現在、「水戸駅前三の丸地区第一種市街地再開発事業」が進行中です。
20階建ての住宅棟と商業・オフィス棟を組み合わせた複合開発で、駅周辺の新たなランドマークとなる予定です。
また、市が推進する「水戸まちなかリビング作戦」では、歩行者中心のまちづくり・中心市街地の再活性化を進めています(出典:水戸市公式サイト・市総合計画ページ)。
これらの再開発は、マンション需要の拡大と土地価格の安定化をもたらしており、将来的には「中古市場での資産性」が高まる可能性が指摘されています。
ハザードマップと安全エリア
水戸市の防災ページでは、洪水・内水氾濫・土砂災害警戒区域を統合したハザードマップを公表しています。
市中心部の一部では那珂川・桜川などの氾濫想定区域があるため、住宅購入時には必ず確認が必要です。
一方、丘陵地や市南部(笠原・千波・姫子地区)は比較的安全エリアとされ、地盤の安定度も高いとされています。
住宅流通データ
水戸市では「空き家バンク制度」を運用しており、令和6年度時点で約770軒の空き家が登録されています(出典:水戸市公式サイト)。
また、地価公示によると市中心部の平均地価は約11万円/m²前後と、首都圏近郊と比べて大幅に割安です。
再開発エリアの進展により、今後は「駅近・新耐震マンション」の流通が活発化しそうです。
4. ひたちなか市:再開発と利便性で注目の郊外都市

再開発予定エリア
ひたちなか市では、「勝田駅東口市街地再開発事業(約1.5ha)」が進行中で、商業施設・住宅・公共空間を一体化した街づくりが計画されています。
また、市と東海村が共同で推進する「ひたちなか地区開発構想(約1,182ha)」では、港湾機能と産業・居住の共存を目指す大規模開発が進行中です(出典:ひたちなか市・東海村計画資料)。
これらの動きにより、勝田駅周辺~海浜公園エリアにかけて、将来的な人口定着と住宅需要の増加が期待されます。
ハザードマップ上の安全エリア
ひたちなか市の「洪水ハザードマップ(令和7年3月改訂版)」によると、市の南東部(湊本町・足崎地区など)は一部で浸水リスクが想定されていますが、勝田駅北側・田彦・笹野・稲田周辺は比較的安全とされます。
市の公開データ(ひたちなか市公式防災ページ)で、想定浸水深0.5m未満エリアを目安に安全指標を確認できます。
住宅流通データ
市の「第3次総合計画」によれば、ひたちなか市では人口がほぼ横ばいで推移しており、若年層の定住率が県内でも比較的高い地域です。
UR都市機構による再開発も複数進んでおり、マンション・戸建てともに流通価格の安定性が高まっています。
住宅購入希望者のアンケートでは、「土地付き一戸建てを希望」が7割を占める一方、「駅近マンション志向」も増加傾向にあります。
総評
再開発の動き・生活利便性・交通アクセスの3点で、ひたちなか市は県央エリアでも最もバランスが取れた住宅市場です。
駅近マンションは資産性を期待でき、郊外戸建ては広さとコストの両立が可能です。
5. 比較分析:マンション vs 一戸建て どちらが「お得」か?

| 項目 | 水戸市 | ひたちなか市 | 那珂市 |
|---|---|---|---|
| 平均土地価格 | 約11万円/m² | 約8万円/m² | 約2.1万円/m² |
| 新築マンション価格帯 | 3,500〜4,800万円 | 3,000〜4,000万円 | ー(供給少) |
| 新築一戸建て価格帯 | 3,000〜4,200万円 | 2,800〜3,800万円 | 2,000〜3,000万円 |
| 主な再開発 | 三の丸地区 | 勝田駅東口 | 駅周辺土地活用 |
| 災害リスク | 河川氾濫一部あり | 海岸部低地注意 | 河川沿い注意 |
| 流通性(将来売却) | ◎高 | ○安定 | △限定的 |
| コストパフォーマンス | △ | ○ | ◎ |
この比較から分かる通り、
- 「将来の資産性」や「交通・生活利便」を重視するなら、水戸市またはひたちなか市の駅近マンション・再開発エリアの戸建てが有利。
- 「土地付きでゆとりある暮らし」を求めるなら、那珂市の戸建て住宅が最もコスト効率が高い選択肢といえます。
6. まとめ:安全性とまちの将来性で見る最適解

水戸・ひたちなか・那珂の3市を比較すると、住宅市場の「お得さ」は単純な価格比較では決まりません。
再開発の進行度、災害リスクの少なさ、住宅流通性という3つの軸を組み合わせて判断することが重要です。
- 資産性と利便性を両立させたい人 → 水戸市中心部またはひたちなか市勝田駅周辺のマンション
- 広さとコスパを重視する人 → 那珂市またはひたちなか市郊外の戸建て
- 安全性と安心な暮らしを最優先する人 → 各市のハザードマップで浸水想定区域外の高台住宅地
再開発・防災・住宅流通という“まちの変化”を正しく読み取ることが、茨城県央部での「後悔しない家選び」につながります。
引用・参照
- 水戸市「第7次総合計画」・防災情報ページ(city.mito.lg.jp)
- ひたちなか市「第3次総合計画」・「洪水ハザードマップ」・「勝田駅東口再開発事業」関連資料(city.hitachinaka.lg.jp)
- 那珂市「立地適正化計画」「総合計画」・防災情報(city.naka.lg.jp)
- 国土交通省「住宅市場動向調査」「土地総合情報システム」



