不動産お役立ちコラム
相続した土地をすぐに売却すべきケースと税金について解説|5年以内の売却に関する注意ポイントとは
土地を相続しても活用予定がない場合、すぐに売却すべきかどうかお困りの方は多いのではないでしょうか。
不動産は、所有しているだけで固定資産税がかかってしまうので、焦って売却を考える方もおられるかもしれませんが、売却のタイミングや税金の特別控除について、しっかり理解しておくことが大切です。
そこで今回は、相続した土地の売却にまつわる税金や特例について分かりやすく解説していきます。
【このコラムでわかること】
- 相続した土地の売却理由には、「土地活用ができない」「維持費を抑えたい」などがあります。
- 売却時には登録免許税や印紙税などの税金がかかる他、譲渡所得税も発生します。
- 特に5年以内の売却では、譲渡所得税の税率の高さや確定申告の注意ポイント、節税特例の活用などが重要です。
目次
相続した土地を売却する際に必要な税金とは
まずは、相続した土地を売却する際に生じる税金について把握しておきましょう。
名義変更にかかる「登録免許税」
登録免許税は、土地の所有者が名義変更を行う際に法務局に支払う税金です。
2024年4月1日からは、相続登記が義務化されていることにも注意が必要です。
相続による名義変更の場合、登録免許税は土地の固定資産税評価額の0.4%が適用されます。
登録免許税=固定資産税評価額×0.4%
売買契約書の「印紙税」
土地の売却には、印紙税も発生します。
この印紙税は、土地の売買契約書に記載された売買代金に応じて計算され、その金額分の印紙を貼って納めます。
また、印紙税の軽減措置は、記載金額が10万円を超えるもので、平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成されるものに適応されます。
【軽減後の税率】
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
10万円を超え 50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
50万円を超え 100万円以下のもの | 1千円 | 500円 |
100万円を超え 500万円以下のもの | 2千円 | 1千円 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 1万円 | 5千円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5千万円を超え 1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え 5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え 10億円以下のもの | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え 50億円以下のもの | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
引用画像元:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」
売譲渡所得に発生する「所得税・住民税・復興特別所得税」
土地の売却に伴う譲渡所得には、所得税、復興特別所得税、そして住民税がかかります。
譲渡所得とは、土地を売却した際に得られる利益のことです。
取得費は土地の購入価格を指し、譲渡費用には仲介手数料や印紙税、測量費などが含まれます。
譲渡所得=譲渡価額ー取得費ー譲渡費用
ただし、相続した土地の場合、取得費が不明な場合があり、その場合には概算取得費が使われ、一般的には譲渡価額の5%が取得費として扱われます。
税金=譲渡所得×税率
譲渡所得は所有期間に応じて長期譲渡所得と短期譲渡所得に分類され、それぞれ異なる税率が適用されます。
所得の種類 | 所有期間 | 所得税率 | 住民税率 |
---|---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% |
また、復興特別所得税は所得税に2.1%を乗じたものが課税されます。
被相続人の「所有期間を引き継ぐ」ことが税率に影響し、例えば、親から相続した土地を売却する場合、親の所有期間が5年以上であれば長期譲渡所得税率が適用されます。
相続した土地をすぐに売却した方がいい理由
相続した土地の売却時にかかる税金を確認したところで、相続後すぐに売却した方がいいケースや理由について紹介します。
土地活用できないケースがある
相続した土地の活用方法がない場合や土地の立地条件が良くない場合、固定資産税を払い続けるだけの状態になる恐れがあるため、早めの売却を検討することがおすすめです。
維持費をかけたくない場合
固定資産税以外にも土地は所有しているだけで、保険料や管理・修繕といった維持費が必要になります。
早期売却では、これらのランニングコストを考えた対策が大切です。
相続トラブルを避けたい
また、不動産は相続による分割が困難である点にも注意が必要です。
例えば、相続人が複数いる場合、誰が相続するのか、または共有名義で相続するのかなど、判断が難しいケースでは、相続人の間でトラブルが起こる可能性も高まります。
そのため、土地を売却して現金化すれば、仮に相続人が多くても分けやすくなります。
一定期間内売却の特例が受けられる
相続した土地を一定期間内に売却すると、後に紹介する「特例」が適用され納税額が軽減される場合があります。
特例を受けるためには確定申告が必要ですが、「取得費加算の特例」または「空き家の3,000万円特別控除」のいずれかを利用できるかどうか確認してみましょう。
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5年以内の売却で注意すべき税金について
次に、相続した土地を5年以内に売却する場合の注意ポイントについても見ておきましょう。
土地の相続から5年以内に売却を考える場合、売却時に発生する所得税と住民税の税率に注目する必要があります。
『相続した土地を売却する際に必要な税金とは』の章の最後に紹介していますが、売却時に適用される税率は、不動産の所有期間が5年以下であるか、5年超であるかによって変動します。
5年以内に売却する場合、短期譲渡所得になるので長期譲渡所得よりも高い、所得税と住民税の税率が課せられることを押さえておきましょう。
所有期間 | 所得税率 | 住民税率 |
---|---|---|
5年以下(短期譲渡所得) | 30% | 9% |
5年超(長期譲渡所得) | 15% | 5% |
早期売却で受けられる特例のポイント
最後に、相続税を支払った場合に受けられる2つの特例「取得費加算の特例」と「空き家の3,000万円特別控除」について解説します。
取得費加算の特例
取得費加算の特例は、相続財産を一定期間内に譲渡する際に適用される税制優遇措置です。
この特例では、相続した財産を売却した場合に、相続に関連する費用を取得費に加算することができます。
加算された取得費により、譲渡所得が減少し、譲渡所得税の支払い額も減らせます。
この特例を受けるためには、以下の条件が必要です。
・相続や遺贈により財産を取得した者である
・取得した財産に相続税が課税されている
・相続発生から3年10か月以内に相続財産を譲渡する
特例の適用期間内に財産を売却することで、譲渡所得税を節税することができます。
参考:国税庁「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
空き家3,000万円特別控除
空き家の3,000万円特別控除は、相続した土地に居住用の家屋が建っている場合に適用される特例です。
この特例では、被相続人が居住していた家屋や土地を売却する際に、譲渡所得から最大で3,000万円までの控除が受けられます。
要件は以下の通りです。
・相続開始の直前に被相続人が居住していた
・昭和56年5月31日以前の建築である
・区分所有建物登記のない建物である
・相続開始の直前に被相続人以外の居住がない
・相続開始の日から3年を経過する日が属する年の12月31日までの売却
売却期間は、平成28年4月1日から令和5年12月31日までとされていましたが、令和5年度の税制改正によって、適用期限が4年延長され、令和9年12月31日までになりました。
参考:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
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まとめ|相続した土地を売却するなら節税対策がポイント
相続した土地の維持・管理は、様々な条件や税金が絡む複雑な問題ですが、早めの売却による節税対策を有効に行うことで、考えうるトラブルを避けることが可能です。
売却にかかる税金や特例をよく理解して、適切なタイミングで実行することが大切です。
ぜひ、プロの提案やアドバイアスも参考にしながら検討してみてください。
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